ややこしい突貫任務ではあったが、
首領からの勅命、さすがに逆らえはしなかったものの、
そこはやっぱり思うところがあったらしく。
マフィアに元居たキレッキレの策士なら、
もっと手際のいい手筈を編めたんじゃあなかろうかなんて思うとますますと気が塞ぐ。
訳もなく物へ当たりそうになったほど
憤懣やるかたがなかった気分を鎮める意味でも
相当な癒しが欲しかったものか、夜半のうちに愛し子の寝床へもぐりこんでた幹部殿だったようで。
「仕事帰りですか?中也さん。」
「ん〜。」
ちょっと落ち着いて来てから気がついたが、どうやってだか自分の腕が虎のそれへと変化してもおり。
おねだりするよにさすさすと撫でられると そうなるような反射でも染みついていたものか、
鋭い爪が出てなくて良かったぁとほっとしつつ、
そのご自慢の毛並みふっかふかの双腕でそおと抱きしめて差し上げて、
「さすがですねぇ。ボク全然気が付かなかったです。」
「おうよ。」
俺もこれでも結構気配消したりはしたけどよ、
全然目を覚ましもしねぇから拍子抜けしたぜなんて、
侵入者側が大威張りしていたりして。
まだちょっと寝ぼけておいでか、いやいやそれも半分くらいは甘えみたいなもの。
あ〜〜〜、このぽよぽよとほのぼのしたところが癒されるぅと、
まだまだ起きないぞと言わんばかり、虎の子の懐に潜り込んだままな幹部殿。
朝餉の支度が終わった鏡花ちゃんはといや、
ふすま越しにでも気配で状況は判るのか、
表情薄いまま、だがだがほんのり口許だけはほころばされて、
お疲れらしい兄様の癒し、思う存分堪能させて差し上げるのだった。
Happy St.ValentineDay vv
〜 Fine 〜 24.02.14.
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*おお、気がつきゃ2月も半ばですね。
何だかんだ色々あった1月が長く感じたのの相殺か、
二月はよくある言い回しよろしく、
ライオンのようにやってきてうさぎみたいに去ってゆきそうです。

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